薬は誰にでも必要?悪玉コレステロールの治療は「将来の心血管リスク」で決まる|しょう内科クリニック|埼玉県蕨市の内科・リウマチ科・アレルギー科

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薬は誰にでも必要?悪玉コレステロールの治療は「将来の心血管リスク」で決まる|しょう内科クリニック|埼玉県蕨市の内科・リウマチ科・アレルギー科

薬は誰にでも必要?悪玉コレステロールの治療は「将来の心血管リスク」で決まる

「悪玉コレステロールが高いですね。薬を飲みましょう。」??

健康診断でLDLコレステロールが高いと指摘されると、すぐに薬が必要だと思われる方もいるかもしれません。

しかし、脂質異常症の治療で大切なのは、LDLコレステロールの数値だけではありません。

スタチンによって心筋梗塞や脳梗塞を予防するメリットは、もともとの心血管リスクによって大きく変わります。

1. 同じLDLコレステロールの値でも、予防効果は人によって違う

お薬(スタチン)はLDLコレステロールを低下させ、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクを減らします。

研究では、LDLコレステロールを約39mg/dL(1mmol/L)低下させると、主要な血管イベントが相対的に約20〜25%減少することが示されています。

ここで重要なのが、相対リスク低下と絶対リスク低下の違いです。

  • 相対リスク低下:もともとのリスクに対して何%減少したか

  • 絶対リスク低下:実際に発症する人が何%減ったか

2. 同じ25%のリスク低下でも、実際のメリットは違う

例えば、お薬(スタチン)によって相対リスクが25%低下すると仮定します。

①年齢の影響で主にLDLコレステロールが上がる更年期以降の女性(高血圧なし、糖尿病もなく、健康的な生活習慣)

②LDLが高い上に、高血圧・糖尿病・喫煙など複数の危険因子を持つ男性(不健康な生活週間のイメージ)

を、仮に以下のようなリスクで比較してみます。

モデルケース:10年間の心血管イベント発症リスク

①更年期以降の女性(例)

治療前の発症リスク:5%

②危険因子の多い男性(例)

治療前の発症リスク:20%

 

お薬投与後(相対リスク25%低下と仮定)

10年間の心血管イベント発症率。仮想モデル

※治療前後の発症率を比較するための図です。相対リスク低下は両者とも25%です。

つまり、どちらも相対リスクは25%低下しますが、実際に予防できる人数は男性の方が4倍になります。

3. 更年期以降の女性も注意が必要

女性は閉経に伴ってエストロゲンが低下し、LDLコレステロールが上昇しやすくなります。

しかし、LDLが上昇したからといって、全員にお薬が必要なわけではありません。

  • 他の心血管危険因子が少ない

  • 高血圧や糖尿病がない

  • 喫煙歴がない

こうした場合には、お薬のメリットはあまり大きくありません。(無い訳では無いです。)

まず食事・運動などの生活習慣改善を行い、全体的なリスクを評価することが重要です。

一方、糖尿病、慢性腎臓病、喫煙、高血圧などを伴う場合は、積極的な脂質管理を検討します。

4. 大切なのはLDLの数値だけでなく、将来のリスク

脂質異常症の治療は、単にLDLコレステロールを下げることが目的ではありません。

将来の心筋梗塞や脳梗塞をどれだけ予防できるかが重要です。

同じLDLコレステロール160mg/dLでも、患者さんのリスクへの考え方、年齢、性別、血圧、糖尿病、喫煙、腎機能などによって治療方針は変わります。

当院では、脂質の数値だけでなく、患者さん一人ひとりの心血管リスクを総合的に評価し、薬物療法の必要性を判断しています。

参考文献

  1. Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration. Lancet. 2012;380:581-590.

  2. 日本動脈硬化学会編. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.