骨折を防ぐための、テイラーメイドの骨粗鬆症治療薬とは?|しょう内科クリニック|埼玉県蕨市の内科・リウマチ科・アレルギー科

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骨折を防ぐための、テイラーメイドの骨粗鬆症治療薬とは?|しょう内科クリニック|埼玉県蕨市の内科・リウマチ科・アレルギー科

骨折を防ぐための、テイラーメイドの骨粗鬆症治療薬とは?

皆様、こんにちは。しょう内科クリニックの荘です。
前回は、骨粗鬆症について全体的に説明をいたしました。

今回は具体的な治療薬について、詳しく説明していきます♪
治療薬は日々進歩しており、使用できる薬剤も増えてきています。

骨の状態によって、お薬を使い分けると効果的です。
では早速いきましょう。


されてる?それとも造られてない?

骨は毎日、壊されては造られ
生まれ変わっていっています。

骨が壊れるのには破骨細胞が
骨が造られるには骨芽細胞が
それぞれ働いています!

この2つがバランスよく働けば
骨は常にリニューアルされて、健全な状態に維持されます。

というわけで、骨が弱くなる理由には

①壊される量が多い
②造られる量が少ない

の2パターンになります。
お薬も、基本的にこのどちらかに働きかけて作用を発揮します!


されるのを抑えるお薬

破骨細胞を抑えることで、骨を強くするお薬を紹介します!

①骨に女性ホルモンに似た働きをするもの(SERM)

代表的な薬:ラロキシフェン(エビスタ)、バゼドキシフェン(ビビアント)

実は女性ホルモンは破骨細胞をコントロールする作用があります。
女性が閉経すると骨密度が急激に落ちるのは破骨細胞が過発になって骨が壊れる方向へバランスが変わるからなんです。

さて、ラロキシフェンやバゼドキシフェンは骨に対して
女性ホルモンの様な作用を及ぼすことで、破骨細胞をコントロールします。

大腿骨への効果はあまり期待できませんが、背骨の骨密度を上げるがあります。
副作用が少なく、使いやすいお薬です。

②ビスホスホネート製剤

代表的なお薬:アレンドロン酸、リセドロン酸、ボンビバなど

骨粗しょう症の治療で最も使われている薬のグループです。
週1回飲む薬が多いです。起床時にコップ1杯の水で飲みます。

胃が空っぽの状態で飲むのがポイントで
水以外の飲み物で内服したり、食後の内服ですと吸収されません!

骨に強く取り込まれ、破骨細胞を減らす作用があります。
これにより、骨が壊されるスピードを落とします。
骨密度を上げる効果は強く、腰椎と大腿骨の骨折予防効果が証明されています。
ステロイドによる骨粗しょう症の対策にもよく使います。

副作用として、稀ですが顎骨壊死というものがあります。
抜歯や歯肉の切開などの、歯肉や歯が埋まっている顎の骨に及ぶ治療でリスクが高まります。

特に歯肉炎などの歯周病がリスクとなります。
普段のブラッシングや歯科での定期検診など、歯周のケアが予防に大切です!

③抗RANKL抗体(プラリア)

これも破骨細胞を抑えるお薬です。
背骨と大腿骨の骨折リスクの低減効果があります。

半年に一回、クリニックで皮下注射します。
飲む手間がないため、確実に治療が継続できるのがメリットです。

副作用は上述のビスホスホネート製剤と同様です。
当院でもよく使うお薬の1つです。


るのを助けるお薬

骨芽細胞を刺激したり、骨の材料を補強するお薬を紹介します。

①ビタミンD製剤

代表的なお薬:アルファロール、エディロール

カルシウムの吸収を高めてくれるお薬です。これにより骨の材料が豊富になります。

単独で骨密度を上げる作用は強くないですが、副作用が少なく、他の薬の補助として併用することが多いです。

②PTH製剤

代表的なお薬:テリボン、フォルテオ

骨芽細胞を刺激して、骨が造られるのを刺激します。
注射製剤です。
自宅で自己注射(毎日、あるいは週2回)するか
クリニックで週1回注射することもできます。

注射の期間は2年間です。
投与初期に吐き気が出ることがあります。

強力な骨密度増加効果があります。
特に腰椎の骨密度の上昇効果に優れています。

③抗スクレロチン抗体=イベニティ

現時点で最も骨密度の増強効果が高いお薬です。
骨形成促進効果に加えて、骨吸収を抑制する効果もあります。

1ヶ月に1回、クリニックで注射します。
1年間継続します。重度の骨粗しょう症の方に適しています。

副作用に関しては、因果関係ははっきりしませんが、稀ですが心筋梗塞や脳卒中の副作用が報告されています。
リスクのない方はあまり心配いりませんが、心筋梗塞や脳梗塞などの既往がある方は、原則使用を控えた方が良いでしょう。


まとめ

多くの薬を紹介してきましたが、実際の処方例をまとめてみます!

☆軽い骨粗しょう症で女性の方

・SERM(ラロキシフェン、バゼドキシフェン)+ビタミンD

☆中程度の骨粗しょう症の方

・ビスホスホネート製剤+ビタミンD

・プラリア+ビタミンD

☆重度の骨粗しょう症の方

・PTH製剤+ビタミンD

・イベニティ+ビタミンD

当院では腰椎と大腿骨の骨密度測定、採血による骨代謝マーカーの測定から
1人1人にあった治療を提供しています。

今回は、骨粗しょう症に使うお薬を1つ1つ紹介しました。
骨粗しょう症は適切に治療すれば、骨折リスクをかなり減らすことができます。

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!