指が痛むのは、関節リウマチ?それとも・・・
- 2021年12月21日
- 関節の痛み!こわばり!
こんにちは。しょう内科クリニックの院長の荘です。
今回は、当院の専門分野の病気である関節リウマチを中心に、指の痛みについて説明してまいります。
指が痛くなった時に、医師が考える病気とは?
まず、医師が考える病気は関節リウマチです。そして、受診される方も指の痛みの原因として関節リウマチを心配しています。
典型的な関節リウマチの患者さんであれば、手の関節を触ってみるとすぐに分かります。
パンの生地みたいにもちもちと腫れている感じですね。
実をいうと・・・手や手指の痛みの原因では、関節リウマチ以外の病気の方が多いかもしれません。
代表的な病気は、変形性関節症と腱鞘炎の2つです。
今回は、手と指の痛みの代表的な病気である、関節リウマチ、変形性関節症、腱鞘炎の3つについて説明していきます。
☆関節リウマチ
画家のルノワールさんは関節リウマチだったことはよく知られています。関節リウマチは痛いことも問題ですが、放っておくと関節が破壊されてくるところが問題です。
関節が壊れてしまいますと、当然力が入らない、動かない・・・など生活に支障が出てきます。
下の写真の指の変形はスワンネック変形といって、第2関節の飛び出しが特徴的です。関節リウマチの患者さんでよく見られます。
関節リウマチでは基本的には手首や指の付け根の関節、第2関節がよくおかされます。
首や、股関節、膝関節、足関節、足の指の関節も障害されることが多いです。
いちど関節の破壊が起こると、元に戻ることは期待できません。抗リウマチ薬による適切な治療が望まれます。
また、治療のタイミングも大切です。病気になって割と早い段階での治療が効果的で、関節の破壊を止める効率がよくなります。
もしかしたら、リウマチかも?と思ったら早めの受診が大切です。
ちなみにですが、痛み場所を冷やした方が良いか?温めた方が良いか?という質問をよくいただきます。
リウマチは炎症が問題ですので、温めて良くなるとは思えません。
シップにも温シップと冷シップがありますが、どちらが貼って気持ち良いかで決めてもらえれば、どちらも正解だと思います!あまり悩まずに直感で決めましょう。
☆変形性関節症(指)
診察や検査の結果、関節リウマチではないとわかった場合、次によくあるのは変形性関節症です。
これは特にご高齢の方で多いですね〜。変形性関節症は、遺伝、エイジングや指の使い過ぎでおこります。
指の関節がゴツゴツと固くなり、痛くなったり曲がりづらくなってきます。若い人にはまず起こりませんが、年齢とともに少しずつ増えてきます。よく関節リウマチと間違われる病気でもあります。
下の写真のような手の方は変形性関節症の可能性があります。
特徴としては、指の第1関節の部分と第2関節の部分の変形です。
第1関節の変形をHeberden(ヘバーデン)結節、第2関節の変形をBouchard(ブシャール)結節と呼びます。
見た目の問題もありますし、痛みもあります。親指の指の付け根(CMC関節)が痛くなることも多いです。
残念ながら、進行を止める有効な治療はまだ確立されていません。関節が骨ばって硬くなるので、だんだんと曲がりづらくなってきます。
ただ、ひどく機能が障害されることはあまりないです。痛い時にロキソニンなどの痛みどめを飲むなど、対症療法としての治療がメインになります。
※変形性関節症に女性ホルモンの減少が影響しているとされており、エクオールが有効との報告もあります。
エクオールとは女性ホルモン様の作用をもち、大豆のイソフラボンから腸内細菌がつくり出す物質です。ただ、体質によってエクオールをつくれる人とつくれない人がいるようです。
サプリメントも販売されていますが、有効性はしっかりと証明されたものではないです。
☆腱鞘炎(バネ指とドケルバン腱鞘炎について)
もう1つは腱鞘炎です。変形性関節症と同じく、使い過ぎやエイジングの影響で症状が出てきます。
女性では妊娠中や産後、更年期の時期に多くなってきます。こちらも女性ホルモンが影響していると言われております。
指の腱鞘炎では、何かを強く握った時の痛みの症状がまずみられます。またバネ指の症状がみられることも多いです。
指の曲げ伸ばしで引っかかりが出てきます。
手首の腱鞘炎はドケルバン腱鞘炎と言って、親指の付け根の手首側が痛くなります。
下の写真のように、親指を手の中に入れて握って、小指側に傾ける様にすると痛みが出るのが特徴的です。
手や指の痛みの治療はどうするの?
原因となる病気によって、治療方法は異なってきます。
一つ一つ説明しますと、関節リウマチならば抗リウマチ薬です。抗リウマチ薬にはたくさん種類がありますので、患者さんに合った薬をよく検討して治療します。
関節リウマチは抗リウマチ薬が劇的に進歩しています。適切なタイミングで適切な治療を行えば、関節の変形は防げる時代になってきました。
変形性関節症は消炎鎮痛薬で対症療法をおこないます。
腱鞘炎にも消炎鎮痛薬は有効ですが、症状が強ければ炎症どめの注射(ケナコルトを4-5mg程度)することがあります。。
当院では、関節リウマチの検査目的で来院される方が多いですが、結果的に変形性関節症や腱鞘炎と分かることも多いです。
関節リウマチでない場合も、かかりつけ医として飲み薬や注射で治療をしています。
整形外科での診察が必要な場合は、ご紹介させていただきますよ。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!