関節リウマチ治療に新しい選択肢!ナノゾラ
- 2023年3月25日
- 関節リウマチ
こんにちは。しょう内科クリニック荘です!
関節リウマチの治療薬は、日進月歩です。
メトトレキサートが第一選択薬であることは
変わりないですが、様々な生物学的製剤(注射剤)や
高い効果を持つ飲み薬のJAK阻害薬が出てきています。
今回は久しぶりの生物学的製剤で
2022年の12月に発売された
ナノゾラをご紹介いたします。
ナノゾラとは?
ナノゾラは8番目に登場した生物学的製剤です。
生物学的製剤は生物が作る蛋白質をテクノロジー
で取り出して、製剤化したものです。
標的物質(主に炎症物質)にのみ効くように
設計されています。
ナノゾラは関節リウマチで炎症を惹起する
物質であるTNF-αを標的とした、抗体製剤です。
TNFαを標的とした製剤は、他にエンブレル、レミケード
シンポニー、シムジア、ヒュミラと5剤あります。
ナノゾラの特徴
今までのTNFαを標的とした抗体製剤との違いは
分子量が比較的小さくなるように設計されています。
これにより炎症部位により届きやすくなることが
期待されています。
また血液中の蛋白質であるアルブミンに結合
することで長く体内に留まることができます。。
ナノゾラが適した患者さん
少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても
十分な効果が得られない患者さんが対象になります。
OHZORA試験では、メトトレキサート併用で
16週時のACR20/50/70改善率(大雑把にリウマチが20%/50%/70%改善する割合)
はナノゾラ30mg群79.6%/55.9% /34.2%で あり
いずれもプラセボに対して有意差が認められており
高い有効性が示されました。
特にメトトレキサートを十分用いても炎症が残る
患者さんに適している薬剤といえます。
さらに、NATSUZORA試験においてはメトトレキサート非併用
においても高い有効性を示していました。
なんらかの理由でメトトレキサートが使用できない方にも
良い選択肢になるのではないでしょうか。
ナノゾラの使い方
4週間に1回、30mgをクリニック・病院内
で皮下注射します。
皮下注射製剤は在宅で自己注射できる製剤が多いですが
現在のところナノゾラは在宅自己注射できません。
オートインジェクタータイプの製剤ではなく
シリンジ製剤となっています。
ナノゾラの副作用
他の生物学的製剤、JAK阻害薬と同様ですが
感染症に注意が必要です。
特に結核や、B型肝炎にかかったことがあると
一度免疫で抑えていたものが悪化することがあります。
また、肺炎や帯状疱疹にも注意が必要です。
ナノゾラの使用に注意が必要な方
・妊娠中の方は、データが少ないため使用できません。
ただし、製剤の特徴からは胎児への移行量は少ないと思われます。
・授乳中の方は、データが少ないため原則授乳中の使用は避けることが望ましいです。
ただ一般的にTNF -α阻害薬は授乳での赤ちゃんへの影響は少ないと考えられています。
母乳栄養も重要なため、主治医にご相談ください。
・薬剤に免疫を抑える作用があるため、肺炎などの感染症のリスクがあります。
発熱や咳などがあった場合は医師に相談してください。
ナノゾラの薬価
薬価は30mg・1筒で11万2476円です。
3割負担ですと、月に33,743円(薬剤費のみ)です。
既存の生物学的製剤とJAK阻害薬の中では
比較的安価(後発品は除いて)だと思います。
ナノゾラのまとめ
・8番目の生物学的製剤TでNF-αをターゲットとしている
・既存の同類薬と比較し、強く、長く効くように設計されている。
・臨床試験での有効性はかなり高い。
・月1回でクリニック・病院で注射する薬
・3割負担だと、月に33,743円の自己負担(薬剤費のみ)
です。最後までお読みいただきありがとうございました。