骨粗しょう症
骨粗しょう症
女性の方は、閉経期の女性ホルモンの低下で骨の代謝が乱れてきます。骨密度は急速に低下していき、50歳以上の女性の25%、男性の20%が骨粗しょう症と言われています。放っておくと骨折のリスクが高くなるため、骨粗しょう症は早期発見・早期治療が大切です!
骨が弱くなると背骨が潰れるように折れる圧迫骨折、太ももの骨の付け根の部分の大腿骨近位部骨折のリスクが高まります。これらの骨折が軽い転倒や、ふつうの日常生活動作、あるいは気づかないうちに起こることもあります。大腿骨近位部骨折では骨折してからの1年間の死亡率が8~24%とも言われており、予防が大変重要です。
骨密度のゴールドスタンダードな検査部位は腰椎と大腿骨近位部です。DXA法という、弱いレントゲンを使った装置で測定します。手首の骨や踵の骨で測る検査もありますが、あくまで簡易検査の位置付けです。
当院ではDXA法で腰椎と大腿骨近位部を測定できる検査機器を用意しております。
骨密度が若い人と比べて70%を切ったら骨粗しょう症です。
骨が壊される勢い(骨吸収マーカーを測定)、造られる勢い(骨形成マーカーを測定)を採血で判断していきます。治療薬の選択や効果判定にも有用な検査です。
普段の生活で出来ることとしては、カルシウム(1日600-800mgを目標)を積極的にとりましょう。乳製品や小魚に多く含まれています。またカルシウムの吸収を助けるために、日光に当たってビタミンDが体でつくられるようにしましょう。
運動で骨に負荷をかけるのも有効です。どんな運動が有効なのでしょうか?
水泳や自転車は骨に重みがあまりかからないので効果は乏しいです。骨は重力の力に抵抗することで強くなっていきます。簡単にいうと、縄跳びのようなジャンプして着地するような運動が良いです。しかし、すでに骨が弱い場合は怪我をするリスクが高いので、ウォーキングでじっくりと取り組みましょう。体力のある若い方は、予防としてジョギングなどが良いでしょう。
骨は毎日壊されたり造られたりしており、このバランスが悪くなると骨粗しょう症につながります。薬の治療も基本的にこのどちらかに働きかける作用で考えます。
腎臓からカルシウムの吸収を助けるビタミンです。カルシウムは骨の材料になります。
毎日飲む内服薬です。
骨のエストロゲン受容体(女性ホルモンが働きかける場所)に結合して、骨が壊れるのを抑えます。一方で子宮や卵巣のエストロゲン受容体には働きかけませんので、乳がんや子宮体がんのリスクが少ないといわれています。起こすことは稀ですが、静脈血栓症のリスクが少し高まります。毎日飲む内服薬です。
半年に1回、皮下に薬を注射します。血液中のカルシウム濃度が下がりやすくなるため、カルシウムやビタミンDの補給が必要になります。
飲み方は少し特殊で、週に1回服用する薬が主流です。朝起きたら水道水コップ1杯(約180ml)で、食事や他の薬を飲む前に内服します。そうしないと吸収率が極端に落ちます。また飲んだら30分は横にならずに起きている必要があります。薬が逆流するのを防ぐためです。
骨芽細胞(骨を造る細胞)の形成を促進することで、骨密度を上げる薬です。薬によって週1回か2回、あるいは毎日皮下に注射します。特に背骨の骨密度の改善効果に優れています。2年間継続できます。
新しい薬で、もっとも骨密度の上昇効果が高いお薬です。まだ歴史が浅い薬ですが、重度の骨粗しょう症では良い治療薬です。1ヶ月毎に皮下に注射で1年間の治療です。