原因・病態
2019年末から中国を起源に流行している感染症です。風邪を起こす多くのウィルスとは違い重症化し得る感染症です。世界的に流行しており、感染した免疫やワクチンの免疫を回避する変異を繰り返しています。
デルタ株〜オミクロン株からは、潜伏期は2-3日と短くなっています。非常に感染力が強く、症状が出る2日前から他人への感染性をもちます。発症後7〜10日間で感染性がなくなってきます。
子供や若い人の多くは無症状、もしくは普通の風邪のような軽い症状で治りますが、感染者数が増える流行期では、重症化〜死亡する方もいます。また、高齢者や基礎疾患のある患者さんは重症化リスクが比較的高いです。
感染する機会は、主にウィルスが咳やくしゃみなどの水分と一体となった飛沫、また接触(ウィルスで汚染された手でご飯を食べる、顔に触って吸い込む)で感染します。
大半の症状は発熱や咳、喉の痛み、関節痛、鼻水などで普通の風邪と区別は付きません。味が分からなくなる、匂いが分からなくなるといった比較的特徴的な症状もあります。
ワクチンによる、重症化予防効果が最も信頼できる予防手段です。ワクチンによる後遺症や副作用リスクは非常に低く、感染による後遺症や重症化のリスクの方が圧倒的に大きいです。小児や妊婦さんを含め、全ての接種対象年齢の方に接種をお勧めします。
予防・治療について
かからないことが大切になります。主に飛沫感染と接触感染の対策が重要です。
1つの対策だけ行えば十分というものは存在しませんが、組み合わせれば強力な予防策になります。まず人との距離をとることで飛沫を吸入する量を少なくすることが出来ます。
マスクはくしゃみや咳で飛沫が飛び散るのを防ぎます。布マスクやウレタンマスクよりも不織布マスクが有効です。屋内環境では全員がマスクをして感染予防を行なうことが求められます。また生活していると色々なものに触れますので、こまめに手指消毒を行いましょう。マスクを外したりつけたりするなど顔に触れる前後のタイミングを意識します。換気も定期的に行うことが重要です。
空気感染とエアロゾル感染は起きる可能性は否定できませんが、主要な感染経路ではないと考えられます。
治療薬は、リスクがある方に軽症〜中等症では経口薬のラゲブリオ(メルク)、パキロビット(ファイザー)で重症化リスクを低減する効果があります。当院ではラゲブリオのみ取り扱っております。
ワクチンについて
日本でも新型コロナのワクチン接種がすすんできました。
ファイザーやモデルナのワクチンはmRNAを用いてワクチン接種者の体内でウィルス蛋白の一部(スパイク蛋白)を作らせることで免疫を賦活するという全く新しいメカニズムのワクチンです。もちろんコロナウィルスのそのものが体の中で出来るわけでは無いので、新型コロナに感染することはありません。有効性に関しては、重症化を予防する効果、感染を予防する効果は共に高いワクチンです。ワクチン接種のリスクは、感染しての後遺症・重症化リスクに比較して、非常に低いです。全ての接種対象年齢の方に、接種をお勧めします。、また、妊娠中の方が新型コロナウィルスに感染すると重症化するリスクが高いことが知られています。妊娠中の全ての週数で、接種が推奨されます。また授乳中のワクチン接種も問題なく、免疫のついた母乳で赤ちゃんの免疫が高まることが期待できます。
副作用は注射部位の痛みや発熱などが比較的多くみられますが、いずれも一過性のものです。
当院では新型コロナ感染症を含めた、発熱外来を行っています。PCRに準じた核酸増幅検査(ID NOW)、インフルエンザと新型コロナの同時測定抗原キットを使って、検査を行います。重症化リスクがある方へは、ラゲブリオ処方します。発熱などの症状がある方の診察は動線と診察室を完全に分けておりますので、ご安心ください。発熱や咳などの症状がある方は、お電話で予めご連絡の上ご来院ください。また、自宅でコロナ抗原キット陽性の方、無料PCRで陽性になった方はオンライン診療も行なっていますので、こちらもご利用ください。